宇治十帖の上生菓子
6月 源氏物語 第50帖『東屋』
さしとむる
むぐらやしげき東屋の
あまりほどふる
雨そそきかな
この帖名は、浮舟を訪れた薫が詠んだ和歌にちなみます。
浮舟は、宇治八の宮の子ではありながら認知されず、縁談では不憫なこともありました。
そのため 母 中将の君の取り計らいで、姉 中の君の下へ身を寄せましたが、浮舟が大君の生き写しのようなことから、 匂宮が妻を差し置いて言い寄ります。
ついに中将の君は、浮舟を三条の小屋である東屋に隠しますが、それを知った薫は 雨の中 浮舟を迎えに行き、宇治の邸へ連れ出します。
浮舟を待つ薫の傘を、こっくりとした白胡麻餡を中に包んだ練切で、 降る雨露を寒天で表しました。
紫陽花と梅雨を楽しむ今月に、ぜひお楽しみくださいませ。
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